社会的な問題となっているインフルエンザ、毎シーズンの流行に見舞われる咽頭炎、および細菌性肺炎も、口腔を侵入門戸のひとつとする微生物感染症です。当講座では、歯科領域にとらわれることなく、口腔から侵入する病原性細菌、真菌、およびウイルスについて、病態発症メカニズムの解析を行い、新規治療法や予防法の基盤となる研究を進めています。

研究室紹介
大阪大学大学院歯学研究科 微生物学講座では、口腔を介して感染する病原性細菌、真菌、ウイルスを対象に、感染症の発症メカニズムや病原因子の解析を行っています。得られた知見をもとに、新規治療法や予防法の開発につながる研究を進めています。
研究内容
A群レンサ球菌の研究
A群レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)は、時として「劇症化」あるいは「侵襲性」と呼ばれる重篤な疾患を引き起こすことがあります。発症時の死亡率は30%にも達し、国内外の研究グループにより、精力的な原因究明が進められています。私たちの研究室でも、身体に細菌が侵入するメカニズムを分子レベルで解明してきました。現在は、組織に侵入した細菌が、ヒトの免疫系を回避する機構について研究を行い、新規の病原因子の同定を進めています。
肺炎球菌の研究
わが国の肺炎による年間死亡者数は、8~10万人にも上ります。しかしながら、肺炎の重症化機構については、不明な点が多く残されています。肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)は、肺炎の原因菌であり、小児の中耳炎においても高頻度に分離されます。肺炎レンサ球菌は、抗生物質に対する耐性化が進んでおり、抗生物質に代わる新規治療方法、もしくは予防法の確立が重要であると考えられます。そこで、感染制御に繋げることを目的として、感染成立に関与する病原因子の同定と機能解析を進めています。さらに、これらの研究から得られた知見をもとに、ワクチン抗原の探索も行っています。これまでに我々は、上皮細胞への定着や、末梢血中での抗貪食能に関わる新規の病原因子を報告しています。
レンサ球菌とインフルエンザウイルスとの共感染
化膿レンサ球菌や肺炎球菌などの病原性レンサ球菌は、A型インフルエンザウイルスとの共感染により重症感染症をひき起こす頻度が高まることが報告されています。そこで、ヒト細胞やマウスモデルを用いて、共感染により重症化する分子メカニズムの解明を進めています。
病原真菌に関する研究
口腔に常在する真菌であるカンジダ菌(Candida albicans)は、義歯性口内炎や偽膜性カンジダ症などに代表される口腔カンジダ症を高頻度にひき起こします。当講座では、歯学部附属病院での臨床分離株の収集から、病原性の発現に関する分子メカニズムの解析までを一貫して実施しています。
研究室の特徴
口腔微生物学を基盤としながら、細菌、真菌、ウイルスを幅広く対象に、基礎研究から感染制御へつながる知見の創出を目指しています。
所在地・連絡先
大阪大学大学院歯学研究科
微生物学講座
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-8
TEL: 06-6879-2899

